元メジャーリーガー・松井秀喜氏(ニューヨークヤンキース)と経営の神様・(故)稲盛和夫氏の対談に次のようなやり取りがある。
(『稲盛和夫 明日から役に立つ15の言葉』元京セラ常務秘書室長 大田嘉仁 著 より)
稲盛:「松井さんが打撃の練習に一番打ち込んだのはどんなときですか?」
松井:「打撃が好調なときですね。好調なときは怖くて特に練習に打ち込みました」
「打撃が好調なときは、ホームランやヒットが自然に打てるものです。ファンの方も
喜んでくれますし、マスコミもほめてくれます。ただ、好調のときはそう長く続きません
から、明日からはホームランやヒットが打てなくなるかもしれないと思うと、心配で心配
で怖くなるんです。そのため、好調なときは練習に一層励むようになります」
冷静に考えれば、野球では打率3割で一流打者といわれる。逆にみると7割は失敗しているということである。調子の良いときでも失敗する確率の方が高いのだ。その失敗の確率をいかに抑えるか、ここ一番のチャンスのときにいかにホームランやヒットを打つかで良い選手とされるか、普通の選手とされるのかが決まってしまう。
調子の良いときでも謙虚に受け止めて練習に励める人と、調子に乗って遊びに走り練習をサボる人とでは結果は自ずと違うということであろう。
松井秀喜氏の場合は、日頃の練習は当たり前にこなし、調子の良いときでもより一層練習に打ち込む謙虚さと真摯さが一流の選手になる道に通じた。
私たちのビジネスの世界でも仕事をするうえで、調子の良し悪しが当然あるが、調子の良いときこそ謙虚さを持ってより高いレベルで悩み、真摯に問題解決に取り組むことで真の実力がつき、成長が早くなることだろう。
一流に上りつめることができる人と二流で終わる人の違いというのは、元々の実力の差にあるのではない。調子の良いときでも謙虚に受け止めて、真摯に努力をし続ける人になるか、楽な方に流れる(遊びに走る)人になるかといった心の持ちようで決まる面が大きい。
まさに「継続は力なり」という言葉を真摯に受け止めて、目の前の高みを登りきるよう日々努力を積み重ね、「一流の人」を目指したい。
練習・努力をいとわない生き方が、自分自身を「より良い明日」へ導いてくれる。自分の心の持ち方ひとつで自分の人生が変わるということを信じて毎日を生きていこう。
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明
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