企業は「ゴーイングコンサーン:将来にわたり経営を継続していくこと」が前提とされている。
企業のステークホルダー(利害関係者:取引先、顧客、従業員、株主、金融機関、地域社会等)との信頼関係はこのゴーイングコンサーンに基づいており、経営継続によって社会成長に貢献していくことを基本的任務とするのが経営者の一番大切な仕事ではないだろうか。
そのために経営者がやるべきことは、自社の夢を描き(社会成長につながることが望ましい)、社員と共有し、率先垂範して社員とともに取り組み、達成に向けて努力する経営姿勢を示すことだ。
中小企業を活性化し、成功を探求する経営誌「理念と経営」5月号に次の記事が掲載されている。(企業の成長法則:社長力、<澤穂希著『夢をかなえる。』より抜粋)
「苦しい時間帯、みんなが苦しい時は、私だって苦しい。苦しいけれど、自分がそこでさらに頑張って、みんなより前を走り続ける。これがリーダーとしての私がするべき一番大事な仕事だと思っていました」(女子サッカー「なでしこジャパン」の澤穂希選手
この想いは経営者にも通じるものがある。経営は良い時ばかりではない。厳しい時、苦しい時がある。その時を乗り越えて成長し、安定経営へと向かっていく。
厳しい時、苦しい時に経営者がその状況から逃げずに立ち向かい、知恵を出し、社員と協力し、社員の能力を最大限に引き出す。それによって組織が活性化し、組織知・組織力が高まり経営力が向上していく。
社員のやる気を引き出し、能力を最大限に発揮させることも経営者の大きな仕事だ。
仕事に対する熱意や貢献意欲を調査した、アメリカのギャラップ社がまとめた最新の「グローバル就業環境調査」によると現在の日本人の仕事に対する熱意や貢献意欲はわずか5%という調査結果が出ている。これはサンプル数が少ない国を除けば、調査145カ国中最下位である(イタリアと同位で最下位)。上位との差は年々開いてきているという。
この調査結果は何を意味するのだろうか?就業者の意識の低さだけが原因なのだろうか?
国の政治・教育政策・労働政策はもちろん大切なことではあるが、企業という組織を引っ張っていくには、経営者の意識が最も重要な事ではないだろうか。
上記の澤穂希選手の言葉を再度考えてみたい。
「みんなが苦しい時に、自分がそこでさらに頑張って、みんなより前を走り続ける。」
経営者が頑張って、社員のこと、会社のこと、お客様のこと、社会のことを一生懸命考えて走り続けていたら、そのような経営者をみている社員も一緒になって頑張ろう、と経営者に波長を合わせるようになるのではないだろうか。
社員は経営者の鏡である(子は親の鏡)ことを考えれば、経営者として襟を正して社員と向き合う必要がある。その積み重ねが企業の継続・成長に繋がる。
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明
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