前回に引き続き、成功する人の条件を紹介したい。
稲盛和夫氏(倫理や道徳を重んじた経営哲学と手腕で「経営の神様」と称えられる)は次のように言っている。
苦難に対しては真正面から立ち向かい、さらに精進を積む、成功に対しては謙虚にして驕らず、さらに真摯に努力を重ねる。そのようなたゆまぬ研鑽を励むことによってのみ人間は大きく成長していくことができる。
謙虚にして驕らず、さらに真摯な努力を、と言われるが、成功した人は謙虚になることはなかなか難しいようである。
人は成功するとどうしても、その成功をベースとして新たな自分を築き上げていこうとする気持ちが強くなる。しかし、自分の原点を忘れた成長パターンはいつか崩れてしまうのではないか。自信と高慢は違う。(そのことを戒めるように「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉がある)
人の助言を素直に聴き、受け入れ、謙虚に自分自身の現状を自己評価し、さらなる高みを目指して努力を続ける人が成長していく。
それは分かっていても、どこかで「自分だけは違う」、または「自分は出来ているはずだ」との気持ちが出てくるのだろう。
もう少し、掘り下げて考えてみる。
中国の古典(書経の大禹謨)にも次のように記されている。
「満は損を招き、謙は益を受く、時れ乃ち天の道なり」
慢心する者は損をし、謙虚な人物は益を受ける、これが天の道理である。自分の地位・力を頼んで相手をねじ伏せる態度、自分の能力に増長して人を見下す態度、上から目線で物事を教えてやるといった態度、全てこれは「満」に他ならない、こういった尊大な性格の人は周囲から反発を受け、避けられてしまう。かつ、自分自身今以上の進歩・向上は望めない。
其の点、「謙」は、こちらが謙虚な態度に出れば、かえって他の人に慕われ、周囲の支持を集めることができる。これが天の道理で、特に力のある者、上司や能力のある人物が謙虚な態度にて徹すればそのメリットが最大限に生かされる。
古代中国に紀元前から言われている、上記の「満損招、謙益受」は現代においても説得力のある言葉であり、人間の本質を突いた言葉である、と言える。
成功してなお謙虚であること、稲盛氏の言う「謙虚にして驕らず」をしっかりと受け止め、成長し続ける人間を目指して、日々努力を重ねる人間を目指そう。
成長し続ける人が世の中をリードし、豊かな社会を創っていく、そして心豊かな人材を育んでいくことで、住みよい世の中になることを願う。
株式会社CSDコンサルタンツ
代表取締役 西里 喜明
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